[横歴通信9月]

[曼珠沙華]彼岸花、死人花などとも呼ばれる。咲いている場所や天気、見る者の気分によっていかようにも映る花である。秋の彼岸の頃、近江水口から石部の街道沿いの畦道に列をなして咲いていた。江戸から京を目指した街道歩き。もうじき草津、鮮烈な赤が明日はいよいよゴールかとの思いを一層掻き立ててくれた。

9月6日(日)横歴9月例会が開催されました

会館講堂での初めての例会

待ちに待った半年ぶりの例会が開催されました。コロナ禍のため会議室では手狭ということで、広い講堂を使用しての開催です。参加された方にはいろんな制約がありますが、みなさんきちんとお守りいただきつつがなく進行しました。また収束が見えないコロナ禍の中で、参加者の減少が心配されましたが、普段より1割減ほどの人数で、役員一同「なんとか開催できて良かった」と胸をなでおろしたところです。
再始動の口火は木村会長の古代史論、メインは特別講演 西野博道先生の日本の城と対比した西洋の城についてお話でした。開け放たれた講堂の窓からは時折、心地よい風が通り抜け久々の講義を堪能することができました。当分は当講堂での実施となりますが、現状の人数制限にも余裕があります。次回10月、関内までの往復に支障がないという方の御参加をお待ちしています。
●例会参加人員 91名(会員80名 新入会員1名 ゲスト10名)

開催にあたり

木村髙久会長
コロナ禍で日常生活が不自由な上、猛暑が重なり皆さん大変な思いをされていると思います。そうした状態にも関わらず、我々の予想を上回るご来場をいただき誠にありがとうございます。本日お会いできてうれしく思います。コロナ対策で会場の席、飲食の制限などございますが、よろしくお願いします。またこのような機会にも関わらず、お越しいただいた新入会員の方、ご見学参加の皆さん、ゲストの皆さん、心より歓迎いたします。
本日は特別講演で西野博道先生をお招きしています。西洋の城とはどういうものか、お話を大いに期待しています。

◆新入会員のご紹介
浜 敬三さん
「友人である会員の紹介で入会いたしました。私の郷里には日本に数多ある諏訪神社の大社があります。ここの由縁は古代神話の世界に遡るもので、大国主神の二人の子が力勝負をして負けた方が勝者に「出雲の国ゆずり」をして諏訪に座したと言われています。諏訪は狭い地域ですが縄文文化が色濃く残っているとのことで、これから諏訪について研究し、会員の皆さんの見識などにも耳を傾けて行きたいと思っています。」


◎9月例会発表のポイント
会員発表 木村 髙久さん 演題『乙巳(いっし)の変と大化の改新の真相』
木村さんはその時々の歴史的な話題や問題点を取り上げて講義されるのが定番になっている。近代から原始時代まで幅広く、さまざまな文献や資料をひも解き、多角的に考察されるのが特長である。最大限実証性を重んじた研究の取組みは我々アマチュアの範とすべききところである。今回は当会では多くの方が発表されているテーマだが、今年は『日本書紀』が奏上されてから1300年ということで取り組まれたようだ。
冒頭に『日本書紀』がいつもその対象として比較される『古事記』との違いにおいて、目的と内容が明確に違うことを述べられ、以下前者の信頼性について考察された。
こうした考察はこれまでも他者によるものがあったが、裏付けとなる部分は資料の存在を明らかにされることで信頼性が高まる。
乙巳の変と大化の改新は唐が台頭し始めるころだとのことで日本も国として胎動しはじめる頃だからこそ、こうした歴史的事件が起こることが納得できる。
発表は乙巳の変の顛末から曾我入鹿の成敗、曾我家の専横、変の首謀者などの検証に及び最後は大化の改新の要点をわかりやすくまとめられた。古代に疎い者にも明快な発表であった。

特別講演会 西野 博道さん(茨城大学講師)演題『西洋と日本の城―比較と検証』
冒頭は私達が聞きなれている「カースル」「シャトー」「ブルク」などがすべて城や邸宅を表す言葉であることやタワーやハウスという言葉も同様の類であることを聴かされ、見慣れた著名の城を例にとって解説が入り大変わかりやすいものだった。語学に堪能な講師らし前段である。(ワイン好きにはシャンボール・ミュジニーや物見塔がマークのシャトーラトゥールなどが頭に浮かび、なるほど確かにそうだとの納得)ドイツ、フランス、スペイン、イタリアの代表的な城が非対称型のゲルマン系(例.独ノイシュバンシュタイン城)か左右対照のラテン系(例.仏シャンボール・シュヴェルニー城)に大別され、英国ではその双方を見ることができるとのことである。
日本の城との関係では戦国期、我国に鉄砲や大砲などが入ってきた時に、当然城づくりの知識や情報も入ったとのこと。信長の安土城天守(例.伊デルモンテ城)など西洋的な形状が見られること、キリシタン大名に築城上手の大名が多いことや小田原城の総構えは西洋の城郭都市に相似するなど説得力のある話に聞きいった。(そう言えば大坂城の淀君は家康が用いた英国製カルバリン砲の直撃に震え上がったな~)
*講演のレジュメは「研究発表」をご覧ください。

会報81号原稿締切り迫る!

10月例会開催日まで原稿をお待ちしています!
本年11月末日発行予定の会報81号の原稿募集を行っています。今回は「一般原稿」にあわせ「特集テーマ“復活”」を募っています。歴史上の劇的な復活劇や珍しい返り咲きなどがありましたら是非投稿をお願いいたします。またエッセイや俳句短歌などもお待ちしています。
*なお、応募をしたいという方はあらかじめ、投稿の予定を編集長までご一報ください。
●原稿締切り日 10月12日(月)
●会員配布日 12月1日(火)横歴例会日
●原稿提出先 編集長 山本修司 宛 045-323-0605  Eメール yamamomoy223@gmail.com

10月例会は10月12日(月)に開催されます

横浜開港記念会館 講堂 午後1時開始
大瀬 克博さん 演題『 義和団事件の英雄・会津人柴五郎の生涯 』
高野 賢彦さん 演題『 大王(おおきみ)を支えてきた大伴氏の最期 』
清水 漠さん 演題『 赤備え 虎昌・昌景 & 直政・幸村 』

講演内容は『横歴 例会のご案内』をご覧ください。

講堂での例会が参加者に好評!来年3月まで継続の予定

開始前の役員ミーティング


今回の講堂における開催について参加者の意見はおおむね良好でした。座り心地の良いソファに前後左右を開けての着席、見た目にもソーシャルディスタンスの取れた安心の収容は当面の規制をクリアできるものです。初めて講堂を利用された方は「天井が高く、格調も高いいい会場だ」との言葉がありました。従来通りの参加者が望めれば、十分に運営が可能です。3月までの予定は下記のとおりです。
〇10月12日(月) 講堂/休憩室(7号室・9号室)
〇11月8日(日) 講堂/休憩室(8号室・9号室)
〇12月1日(火) 講堂/休憩室(1号室)
〇1月11日(月・祝日)総会・講演会 講堂/休憩室(1号室)
〇2月2日(火) 講堂/休憩室(7号室・9号室)
〇3月2日(火) 講堂/休憩室(1号室)

横歴会員中村さんがYouTube動画で講座公開

青葉区すすき野地域ケアプラザなどで落語や歴史講座などの活動を行っている横歴会員中村康男さんがコロナ禍で活動が狭められる中、主催されている「楽笑友の会」のホームページ・YouTube動画ギャラリーに「浮世絵から見る東海道五十三次の旅の魅力」を公開されています。この度新たに第3部が公開されましたオンライン配信として、楽笑友の会によるオンライン寄席を公開しています。あわせてぜひご覧ください。 
☞「笑 楽笑友の会」をクリックするとご案内のサイトに入れます。

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