[12月の発表者]

“お断り”新型コロナの感染拡大が心配されています。今後の状況により例会会場の規制が行われることがあります。開催の可否についてホームページのお知らせにご注意ください。


“かん”ですか? “すが”ですか?
日本語は難しい。もう学びは終了という齢になってもまだ知らなかったことが出てくる。
こんな難しい言葉を使う国がほかにあるだろうか?歴史を学んでいて初めての固有名詞に遭遇するとなんと読んでいいのかうろたえることがある。常識的な読み方をしたのに、「そうかあなた知らないのね。それはこう読むのよ」と、したり顔で指摘される。
後で「あの人、〇〇を××だってよ」とどこかで告げ口されているのではないかという不安におちいる。いいじゃないですか。そんなことで造詣の深さを競うのだったら、歴史を嫌いになる人が増えるじゃないですか。横歴は歴史好きが集まる同好会です。学位をとる学び舎ではありません。あくまでも歴史を語らい、教えあい、お茶する集いです。いまはコロナで懇親の場がなくなっていますが、再開される日を楽しみにしています。

発表者のみなさんにお話のポイントをお聞きしました

小林道子さん
演題『 金印発見―志賀島の甚兵衛は何処へ消えたのか 』

横歴初めての発表 いざ出陣!
私の趣味のひとつとして、「城歩き」があります。日本のお城というと天守閣のある城を思い浮かべる人も多いようですが、実は天守閣のある城はほんの一部です。熊本城や姫路城など天守閣のある城は素晴らしいと思いますが、私が好んで歩くのは近世城郭ではなく中世城郭です。そして山城歩きをする前には足腰を鍛えるため一日10㎞歩きます。
日本全国の城跡はほとんどが山城で、その数は3万から4万、コンビニと同じくらいあります。それらの城に高い石垣や天守、建物はありませんが、縄張り図(曲輪や仕掛けの配置図)を手がかりに、築造者の視点で自分なら本丸や曲輪をどう配置するか、堀や土塁はどう巡らせるか考えながら歩くと、空堀や土塁だけでも充分楽しめます。
歩くことは健康に良く、交通費以外にほとんどお金もかからず知識も深まります。
私のおススメの城は山中城・韮山城・興国寺城・長浜城(伊豆)ですが、そんなに遠くに行かなくても、横浜には心霊スポットとして有名な小机城や「ウズマキかわらけ」が出土した茅ケ崎城があります。どちらも駅近で整備されています。今回の研究テーマは中世城郭ではありませんが、いつか機会があれば南関東の「ウズマキかわらけ」の分布について、研究発表や会報に投稿したいと考えています。

中村 康男さん 演題『 明治新政府、勢力闘争と近代化の歩み 』
~旧土佐藩士大目付下村銈太郎盛俊の役職から読み解く~

高祖父が明治天皇のお召列車に添乗
私は地域の文化活動として、浮世絵を見せながらその時代背景や絵に描かれている暮らしや社会を解説するということを行っています。江戸から明治へとつながる時代を写真代わりに見ていただくことで手軽に歴史を学べるのでどなたにも親しめます。また趣味の落語も回を重ね地区のみなさんに楽しんでいただいています。
今年はコロナで開催に苦労しています。舞台にアクリル板を立て、9月までは定員1/3、現在半分で実施するようになりました。
例会発表は明治維新によって、どのような改革や活動が生まれ、また過去のものをどのように引き継いでいったかを土佐出身の私の高祖父の時代との関りを交えて発表します。実は高祖父は日本初の鉄道、新橋-横浜間の列車に明治天皇が乗車された際に、添乗した人なんですよ。
◆過去の発表テーマ
「浮世絵で江戸・明治にタイムスリップ!」(2018.07)
「浮世絵から歴代市川團十郎の特徴と日本の伝統芸能を垣間見る」(2019.05)

長尾 正和さん 演題『 元禄期の大大名 良将、善将、悪将、愚将-「土芥冦讎記」- 』
想像が研究心を掻き立てる。歴史はミステリー。

私の研究のステップは可能な限り実地検分をモットーとしています。例えば大江広元の邸宅はどこにあったのか?鎌倉十二所にあったと石碑も残されていますが、頼朝の最側近の広元が住むには少し遠すぎるのではないかとの疑問を持ちます。そこで文献をたよりに頼朝邸辺りを歩いてみるということです。歴史から浮かび上がる疑問を解いていく。ミステリーだと思っています。今回の発表する「土芥冦讎記」でも、これまでどこにも書かれていないようなことを見つけ出しては探っていくという作業が研究の楽しさですね。
コロナ禍での最近の行動は、スポーツジム、ヨット、家では歴史の3つですね。
◆過去の発表テーマ
「德川 家康の大名政策と越前松平家「」(2013.10)
「わが国はどのような過程で国家となったか」(2014.09)
「日本書紀」とペルシャの王子(2015.09)
「御所替」大名・家臣団のお引越し(2016.04)
「古代わが国の形成過程-最近の研究から-」(2017.04)
「大江広元と息子たち・一族の盛衰」(2019.02)