[横歴通信12月]例会開催

12月例会が開催されました

12月1日(火) 横浜開港記念会館 講堂
日本大通りのイチョウはすっかり色づき、散り始めた落ち葉がかさかさと音をたて冬の到来を告げています。9月から再開した例会も本年最後となりました。広々とした格調高い講堂での開催は、コロナ規制がかかっていることを忘れさせてくれるほど、安心感の持てるスペースです。
コロナ感染の第3波のニュースが伝わる中での開催に、参加者減少が心配されましたが実会員の約半数が参加、新会員やゲストを含め、先月同様の参加者がありました。
会場ではみなさん会報81号と来年の横歴カレンダーを手にされました。参加できなかった方には後日お届けしますのでお待ちください。
今月の参加者は会員79名、新入会員2名、ゲスト4名でした。
来年は1月11日(月・祝)に令和3年度定期総会・新春講演会を開催します。

開催にあたり

木村髙久会長
本日も多数のご参加ありがとうございます。ご存知のようにコロナ感染が拡大しています。現在は我慢の3週間から、勝負の3週間といわれているようです。私もこの3週間でぜひとも感染危機を脱してほしいものと思っています。実は11月22日秋の歴史散歩が予定されていましたが、感染拡大の報により中止させていただきました。今回は参加を希望されている方が多かったと聞いていましたが、来年はぜひとも開催できるよう願っています。
本日会報81号を配布させていただきましたが、編集でご苦労いただいた担当のみなさんには感謝いたします。加えて投稿いただいた会員のみなさまにもお礼申し上げます。
いまこのような社会情勢にも関わらず、新たに2名新会員が加わりました。これからご一緒に楽しく学んでいただきたいと思っています。

◆新入会員のご紹介
◆鹿島條太郎さん
以前から歴史(中国古代史)に興味をいだいており、この会を知り参加させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。(磯子区在住)

 

 

◆小林秀章さん
春に会社を退社しましたので、趣味の歴史を学ぶ機会を求めていたところ、この会を知りましたので入会することになりました。よろしくお願いします。(都筑区在住)


◎12月例会発表のポイント
小林道子さん 演題『金印発見』-志賀島の甚兵衛は何処へ消えたのか
タイトルに無名の甚兵衛という名を出して、あえて「亀井南冥は金印発見に何を企んだのか?」としなかったところに、素朴な疑問から紐解いていこうとする論者の意図が感じられる。天明4年に筑前志賀島で発見された金印は、福岡藩の役所に届けられ、甚兵衛という百姓が見つけたと記録されている。しかし甚兵衛の存在が怪しい。歴史研究の楽しさは「なぜ?」のパーツを解きながら、史実やその関連性で科学的につなぎ合わせていくことである。論者の結論は南冥が金印鑑定による学者としての名声を得るためだったとしている。そこまでひも解くまでに志賀島の歴史的・地理的検証、金印の真偽、鑑定人の藩校学者南冥の立ち位置等を示し論じた。江戸中期以降の藩校設立ブームの中に生きた学者の存在が見えてくる歴史ミステリーのような面白い講義だった。

中村康男さん 演題『明治新政府、勢力闘争と近代化の歩み』-旧土佐藩士大目付下村銈太郎盛俊の経歴から読み解く-
明治維新は戦や政争によって世の中を変えたのではなく、文明や社会システムや通念までも同時に変えてしまうという史上類を見ない変革だった。この新時代の礎となった者たちはどこのどの分野の人間を切り取っても実に興味深い。論者の高祖父もその一人で、失礼ながら平和な江戸時代であればそれほど取り上げる人生とは言えなかったのかもしれない。
新政府の中心となったのが薩長閥の者たちであり、それに続くのが土佐や肥前の藩士たちだった。さらにその権力を牛耳ったのが海外留学(見聞)を経験した者たちである。その差は何か?国民の多くがカルチャーショックを受けてしまうほどの様変わりに、精神的なバックボーンとして据えたのが古典的な天皇制である。その天皇が乗車した我が国初(アジア初)のお召列車に、渡欧中で同乗することのなかった海外視察組が後世を治めたのに、同乗した者たちは中枢から外れる。西郷しかり、江藤新平、大隈重信、後藤象二郎しかり、下村盛俊もその渦中にあった。

長尾正和さん 演題 『元禄期大名:良将・善将・悪将・愚将-「土芥寇讎記」-』
江戸時代はこのような書物が存在するから面白い。一介の学者にまとめられるようなものでなく、ましてやお上の許可なく作れば打ち首ものである。だからこそ5代綱吉の時の内部資料であるだろうとのことである。全43冊の和綴じ毛筆書きで全国諸大名243藩のお国事情やお殿様の人物評価が記されている。編集思想が「四書五経」や「武経七書」にあるとのことから、編纂の指示は学問好きの綱吉に間違いないだろう。
綱吉は後の徳川学問所「昌平黌」につながる「湯島聖堂」を開き、幕閣や諸大名を集め自ら講義を行っていた。綱吉像は「生類憐みの令」における突出した部分のみ語られるが、こうしたことからも生真面目で好奇心の強い将軍だったのではないか思われる。綱吉と向き合う諸大名たちもそうした評価の動きがあるのではないかと考えていたのではないだろうか。綱吉治世の輪郭が見えるようで興味深い。玄人好みの論者の次の発表が楽しみである。

*各講師のレジュメは「研究発表」に掲載しています。

令和3年度定期総会・新春講演会のご案内

令和3年度の定期総会・新春講演会を下記の通り開催致しますので万障お繰り合わせの上、皆様のご出席をお願い申し上げます。定期総会は令和2年度の総括と当会の今後の方向を定める会です。ご出席いただけない方は出欠席はがきを必ずお出しいただくようお願いいたします。(12月30日までに投函)なお、恒例の新年祝賀会については新型コロナウイルス感染予防のため取り止めとなりますのでご了承のほどお願い致します。
例会に出席の方は年会費(4千円)をお願いしますが、例会費は頂きません。
なお年会費は同封の郵便局振込票による振り込みでも結構です。

*当日は各自マスクの着用をお願いします。
*会場内においては会館からの注意事項を守り、ご参加いただくようお願いします。

1.日 時: 1月11日(月・祝日)
午後1時00分~4時10分
2.会 場:横浜市開港記念会館 講堂
第一部 令和3年度 定期総会(午後1時~2時10分)

主な議題
(1)令和2年度活動報告      (5)会報の発行について
(2)  同上 会計報告      (6)規約改正
(3)令和3年度活動計画      (7)役員異動
(4)  同上  予算案      (8)報告事項 表彰

※ 総会に欠席の回答をされた方は、全議題について議決権を
委任されたこととみなします。
第二部 新春講演会 (午後2時30分~4時00分)
演題・・・『 山崎合戦の性格-本能寺変後の主導権争い 』
講師・・・柴 裕之 先生

大河ドラマ「麒麟がくる」は2月で終了します。クライマックスの本能寺変直後の動向と山崎合戦とはどのような戦いであったのか。NHK BSの特集番組「本能寺の変サミット2020」にも当時代の専門的研究家として登場した柴 裕之先生の講演にご期待下さい。
*講師の略歴等は「例会のご案内」をご覧ください。

◆今後の例会予定

*開催場所はすべて開港開港記念会館講堂
令和3年度総会&新春講演会 1月11日(月・祝日)
2月例会 2月2日(火)
3月例会 3月2日(火)
4月例会 4月4日(日)
5月例会 5月1日(土)