[横歴通信]11月例会開催

 

開港記念会館での例会開催は今月まで

秋雨の本町通り

世間ではコロナ禍が収まり、外出にも寛容な様子が見えてきました。ようやく横歴例会にも久々の賑わいが訪れるかと期待しましたが、突然の秋雨が来襲し、来場者は思うほど伸びませんでした。実は横歴の聖地と言っても過言ではない例会場、横浜開港記念会館が来月から、長い改修工事(令和6年3月まで)に入るため、会館での開催はしばらくお預けとなります。それまでは近隣の会場で継続していきますが、会員の皆様は例会案内や当ホームページでご確認をお願いいたします。(12月は下記案内)
来場者数78名 (会員61名、新会員1名、ゲスト16名

 

新入会員
大利 憲さん
「今、気になっているのは幕末~明治にかけて、日本人は大酒のみが多かったという事です。当時の人口の割合でいうとかなり高いです。世の中の制度が変わったからか、あるいは何かの病気があったのか。破天荒な人がいる反面、偉人も多く輩出されている。自分の腑に落ちるように学んでいければと思います。」

開催にあたり 木村髙久会長

先日当会館におきまして、「横歴はま寄席」が開催されました。会員並びに一般客も交え大勢の参加者をいただき、大盛況を収めることができました。誠にありがとうございました。これにはコロナの収束が見え始めたことも要因の一つですが、今後治療薬の普及などで当例会も従来のような元気な活動が行えることを願っています。本日新たに入会された大利さんように歴史への疑問を持たれたその思いを会での活動に結びつけていただければ幸いです。

 


10月例会発表のポイント
森 彩子さん  演題 『開港横浜で生まれた仏蘭西瓦―ジェラ―ル瓦―』
綿密な調査と精緻な検証に称賛の声
明治の初め横浜の外国人居留地では様々な産業が生まれた。その代表的なものがガスや水道、電信といった近代都市づくりのためのインフラである。森さんはジェラール瓦というフランス瓦が横浜の近代化の中に存在したことに着目、調査研究を行った。この西洋瓦は日本の伝統的な瓦とは異なり、色や形、製造方法が違う。蒸気機関を動力とする製造工場も生まれ、その痕跡も横浜に残されているのだが、日本の瓦産業に伝承されることなくジェラール瓦は明治の終わりには終焉を迎えたという。森さんは丁寧かつ綿密にその存在の推移と足跡を調べ上げている。歴史研究の極意とはたくさんのピースを敷き詰めていく瓦敷のような地味な作業の集大成であることを披露していただいた。

高橋 正一さん 演題 『『翁草』著者自筆原本(一部他筆)の再発見について』
歴史研究の本質は何かを伝えてくれる講話
「翁草」は江戸中後期の京都町奉行与力の神沢杜口が室町時代末期から寛政3年までの200年間の歴史や人物・法制・文学・伝統・宗教・風俗・経済などを収めた随筆である。前後合わせて200巻あり、後世、森鴎外が「高瀬舟」の作品に引用するなど多くの人々に多大な影響を与えている。その後写本としても成立し、明治・昭和と復刻本が出されるなど歴史書としての人気の高さがうかがえる。我々はそうした復刻本を手にして楽しむことができるが、問題はこの本が今日に至るまでの過程にある。この本にはその記述の真偽が指摘されることがあるとのことだが、それは数多複製されるゆえに生じたためである。一昨年行方不明になっていたという神沢杜口の自筆原本が発見されたことで、高橋さんは現在、杜口研究者の方と共同で杜口の研究を進めている。今回の発表は自筆原本であるとされる根拠・理由を、その本の出所・筆跡・押印・構成・用紙などを微に入り解説された。大変な発見である。原本なればこそ浮かび上がってくる真実がある。このような地道な研究が歴史を動かすのだろうか?高橋さんにエールを送り、新発見の成果をお聞きしたいものだ。

加藤 導男さん 演題 『悲運の比企一族と陰謀の北条一族を検証する』
歴史の評価は学ぶ者に与えられた権利と悦楽である
来年のNHK大河ドラマが『鎌倉殿の13人』と発表された。おそらく鎌倉や伊豆・比企などを含む首都圏がにぎやかになることだろう。加藤さんは東日本の鎌倉武士の成り立ちやその経緯を長く調べている。歴史研究には研究者の人柄や性格が表れる。加藤さんの場合、感情移入の強い人柄ゆえに歴史上の人物への思い入れも大きい。演題のタイトルにある思いは悪玉=北条家である。歴史を調べる上で一番の資料はその時代の書物である。
しかしその書物を著わしたのが誰かを考慮しなければならない。この場合『吾妻鑑』は北条氏が著したものだから、加藤さんがいうように「北条が正義」の姿勢であることは致し方ない。現存する歴史資料はこの時代の物が4畳半の小部屋だとすると、江戸時代は体育館に入りきれないほどあるという。しかし少ない資料をひも解いて推察するのも歴史の楽しみでもある。加藤さんが「むごい」と憤るほどの北条氏の時代を知り、大河ドラマで演じられる物語で勝者の立ち位置を確かめるのも歴史の楽しみ方かもしれない。

12月7日(火)例会は馬車道通り、関内ホールで開催します。

前述のとおり、12月例会から約2年余り、例会会場が開港記念会館から他の会場に変わります。12月例会は関内馬車道通りの中ほどにある「関内ホール」の小ホールで開催されます。同ホールは音楽をはじめとするエンターテイメントの会場として知られています。例会会場は同施設地下の264名収容の小ホールを使用します。
場内環境は研究発表の場所としても素晴らしい施設です。
当面はコロナ禍対策のためにこのような大規模施設での開催を実施します。
通常の例会参加者数に対して大きすぎるとの声もありますが、コロナ禍の再拡大の心配もあり、当面はソーシャルディスタンスが十分にとれる会場で行っていきたいと考えます。
発表者の皆様も本格的劇場の中での講話を楽しんでいただき、友人・知人をお招きいただいても十分座席があります。

 

 

 

 

関内小ホール

12月7日(火)関内ホール 地下小ホール規制下132名
開場12時
開始1時~4時50分
横浜市中区住吉町4-42-1 ☎045-662-1221
JR「関内駅」北口より徒歩6分
市営地下鉄「関内駅」9番出口より徒歩50m
みなとみらい線「馬車道駅」5番出口より徒歩5分

発表者
高田 茂さん 演題『七支刀と四世紀の倭国』
真野 信治さん演題『鎌倉殿のおじいさん 源為義の虚像と実像』
木村 髙久さん演題『邪馬台国畿内説は正しいか?』

令和4年横歴卓上カレンダーと会報83号が配布されます

12月例会会場で来年度の横歴卓上カレンダーと会報83号が配布されます。来場できない方へは後日郵送になります。

令和4年定期総会・新春講演会のご案内

1月8日(土) 場所:技能文化会館・多目的ホール 中区住吉町2-4-7 TEL.
045-664-9400
JR関内駅南口より徒歩5分・地下鉄伊勢崎長者町駅2番出口より徒歩3分
新春講演会 古代の朝鮮半島と日本・中国の三国関係をひも解く
『白村江の戦いから羅唐戦争へ』
講演参加費 1000円
講師 学習院大学東洋文化研究所 植田喜兵成智(きへいなりちか)先生

トピックス

鹿鳴家河童さん(会員:寺田隆郎)出演の落語会が開催されます

◆12月25日(土) 川崎市生活文化会館「てくのかわさき」
第13回「やかん寄席」木戸銭無料
第1部 開場10:00 開演10:30 第2部 開場13:30 開演14:00
河童さんはじめ風林亭飴治郎さん、射水亭ぽんぽこさん等の社会人落語家が出演
東急田園都市線溝の口駅 JR南武線武蔵溝の口より徒歩5分
高津区溝口1-6-10

 

 

 

 


◆令和4年1月22日(土) 川崎市民プラザふるさと劇場
第4回「ぷらり寄席」 木戸銭無料
開場13:00 開演13:30~16:00
河童さんはじめ風林亭飴治郎さん、木屋木凛さん等の社会人落語家が出演
東急田園都市線「梶ケ谷駅」からバス5分または徒歩15分
東急田園都市線「溝の口駅」、JR南武線「武蔵溝の口駅」からバス10分