[横歴通信8月]8月例会開催

8月例会は無事開催されました。
8月3日(水)全国各地から気温35℃超えの猛暑が伝えられる中、横浜も負けず劣らずの炎天下となりました。例年8月例会はお休みとなるのですが、コロナ禍で上半期休会が続いたため補足的に実施されることになりました。
参加者の激減が心配されましたが、予想を上回る参加者71名に運営サイドもほっと胸をなでおろした次第です。 参加者71名(会員64名、新入会員2名、ゲスト5名)

新入会員

摂待洋子さん
この会に何人か知り合いがいるので、入会させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。(会員丸山雅子さんのご紹介)

 

青柳文子さん
仕事を辞めたばかりで、このままじっとしていたらボケてしまうと思い、地元のボランティアセンターを訪ねたおりこの会を知りました。学ぶのは横浜の歴史か思ってましたが、通史(歴史の全般)でした。それもありかなと思い入会しました。

 

訃報

横歴常任理事 清水獏氏
8月2日ご逝去(78歳)。研究発表ではご出身の甲斐武田を中心とした歴史を、力強い明朗快活な話しぶりで知られた。また会の役員として重要な役割を果たされ、多くの方から「ばくさん」と親しまれる好漢でした。

 

 

 

 

開催にあたり

横浜歴史研究会会長 木村髙久さん
冒頭にお伝えしたように一昨日亡くなられた清水獏さんは、当会常任理事として職責を果たしてこられました。特に旅行の委員として企画から実施案に至るまで。このコロナ禍で難しい判断が求められる中、大変なご苦労をされていたことが印象に残っています。人柄も良く多くの皆様から愛されていました。心よりご冥福をお祈りいたします。
先日甲賀市で甲賀・伊賀諸流の忍術をまとめた忍術書「万川集海」の元とされる「間林精要」という古文書が見つかりました。これには当然様々な忍法が記されているのですが、一つ気になったことがありまして、それは犬に出くわした時、吠えられないよう手のひらに「鬼」と書いて指し示すというようなことがありました。さすがこれは馬鹿げていて大丈夫なのだろうかと思った次第です。
いずれにしても時間と共に、このような残された記述の新しい発見や情報が次々と出てきます。我々もそうした情報をいち早く手に入れ知るという努力が必要かなと考えます。


8月例会発表のポイント
演題 『ノモンハン事件/後編・・停戦後の秘話』古谷 多聞さん
前回「ノモンハン事件」は太平洋戦争のプロローグとしてまったく無益で無意味な戦いだったと断じた論者が今回この戦いの全容を日露双方の戦果の実勢を具体的に示しながら解説するに至った。そしてその戦いの評価や処分においていかにも日本的な収め方で、次の戦いに活かす術を持たなかったということを我々は教えられる。これが戦国時代の戦いなら笑って済ませるが、これが太平洋戦争のはじまりだとなると唖然としてしまうのは私だけではないだろう。古谷氏はロシアについても今も変わらずに引き継がれている悪しき問題点を指摘している。近代史は胸騒ぎが起きる位人の心をえぐる。毎回聞かされることだが教訓は山ほどあるのに、誰も歴史から学んでいないという思いである。

演題 『藤原鎌足=東国出自論~もうひとつの古代史逸文~』忌部 守さん
若い学生さんに藤原氏ってどんな家系なのかと尋ねられたら、この話をしてあげて欲しい。学生時代、大化の改新を学び覚えた名前-藤原鎌足は中大兄皇子と共に曽我入鹿を討ったと学んだ。鎌足は元々優秀な貴族であったのだろうとしか思っていなかった。(余談:私には名優藤原釜足の方がリアルな存在だった。彼は戦前藤原氏の祖といわれる鎌足を名乗ったことで皇族の忠臣たる者に対する不敬とされ、改名を求められた)
鎌足の出自には大和国高市郡と常陸国鹿島の2つの説があり、村島氏の話は後者の説をひも解いたものである。春日神社の鹿が、常陸の鹿島から由来するものであること、また鎌足の家 中臣家は祭官である。その出自は孝徳天皇時代に造られた鹿島神宮の奉斎一族であるとのことは納得のいく話である。最後は後世につながる東国の力はまんざらではないとの思いになる。この乙巳の変以降に律令国家となるのだが、当時にも地方行政組織「評制」があったことなど学ぶべきことが多々あった発表だった。

演題 『どうする頼朝!~一か八かの挙兵だった~』真野 信治さん
頼朝挙兵は謎が多い。伊豆の田舎に人の眼が届かないとは言えない長い浪人暮らしをしている頼朝にさあ決起しろと言っても、そうやすやすと立ち上がれるものではない。また多勢に無勢の中、房総へ逃れてから、大スターにファンが群がってくるように集まった大軍団を引き連れて鎌倉へ戻ってくるという作り話のような展開がなぜ生まれたのか。真野さんが実に明快に解き明かしてくれた。
そこにはカリスマ性を持って関東を統治するような武士が存在していなかったことや、そうしたことにも未熟な土壌があったのだろう。頼朝のみが持ちえたレジティマシー(正当な血筋)というよりどころだけで、少なくとも東日本の雄となるのだからかなりの運の良さを感じる。北条がその地位を乗っ取り引き継いでいくものの、足利にとって代わられる時代へのステップもわかりやすく講演いただきたいものだ。
*発表者の詳細は「研究発表」をご覧ください。

横歴創立40周年記念

「記念式典・祝賀会 」
参加申し込みは8月10日まで
日時 9月10日(土曜日) 午前11時より
会場  ホテル・メルパルク

(山下公園向かい 横浜市中区山下町16 TEL.045-662-2221)

第一部 記念式典 11時00~11時45分
会員特別表彰
ビデオ放映「横歴平成令和を振り返る」
第二部 祝賀会 12時00分~14時30分
テーブル会食(フリードリンク)
*従来より広めの距離をとったお座席でゆっくりとお楽しみください。
アトラクションとして豪華景品が当たる「テーブル対抗クイズ合戦」を行います。
祝賀会参加費 7000円

アクセス   東横線(みなとみらい線)「元町・中華街駅」4番出口より徒歩10分
JR「石川町駅」より徒歩10分

 

 

 

申込期限 8月10日(水)
*お手元の返信ハガキにて出欠席のご返信をお願いします。
〈ご注意〉すでに申し込みをいただいている方でキャンセルをされる場合は9月6日までに上野まで(090-5543-0869)ご連絡をお願いいたします。

(会員)粟光行氏が書籍を刊行 令和4年7月25日発刊

「仏教と日本の仏像」
古代中国を題材とした「中国史」三部作を著した粟氏が歴史への傾倒の原点となった日本の仏教と仏像へのふれあいを若き日の思い出や体験を通して綴った本。記述の端々に仏像に対する同氏の純な思いが溢れている自伝的作品である。