[横歴通信11月]例会開催


11月の例会は81名の参加がありました。(会員74名・新入会3名・ゲスト4名)
午前中の悪天候とはがらりと変わり、11月とは思えない暑さの中での開催となりました。
例会後の懇親会は会場を変えて37名の参加者で賑わいました。(餃子が好評、締めのおにぎりは食べ応えあり)懇親会では歴史談義に限らず様々な情報交換やたわいない会話で盛り上がります。初対面の方とも気兼ねなく会話ができます。一度のぞかれてみてはいかがでしょう。

新入会員

鬼海(きかい)理恵さん

歴史小説が好きで坂本龍馬や勝海舟がいいなと思っていましたが、それは小説の主人公だったからで、坂本龍馬は「船中八策」なんかしていないよと聞いて、本当のところを分かっていないので学びたいと思い入会しました。よろしくお願いいたします。
 

 

 

井戸 登さん

歴史と旅行が好きです。定年後にセカンドライフを楽しむため、目的を持たないと行動できないので、百名城スタンプラリーを6年かけて今年の5月に終えました。歴史検定一級に受かるように勉強しています。詳しく歴史を勉強できたらと思い入会いたしました。
 

 

長村 雅弘さん

歴史は中学時代から好きでした。途中ブランクが空いています。歴史は深いので皆さんについていけるかわからないが、あまり古いものより明治時代辺りから関心があります。
 

 

 

 

訃報

丹下重明氏
当会相談役の丹下重明氏には10月21日にご逝去されました。(享年89歳)
会報誌の元編集長をされていました。また、当会の会歌の作詞もされました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 

 

会長挨拶


今月も歴史に詳しい3名の方が入会されて、この会がますます発展していくことを嬉しく思います。先月のはま寄席は229名の参加者があり皆様のご協力に感謝申し上げます。演者さんからも大勢の方の反応が目の前で分かり力が入りました。ありがとうございましたとの言葉を頂いています。今冬もスーパーエルニーニョの影響で、暖かい冬だが大雪もあるという異常気象の予想です。
四季の変化がある方が情緒があります。今月の25日に秋の歴史散歩で西鎌倉方面の散策をします。今回のコースは上り坂がほとんどないので足に自信のない方も是非ご参加ください。
 

秋の歴史散歩「晩秋の西鎌倉逍遥」のご案内

~限定公開の極楽寺宝物館や御霊神社・光則寺など鎌倉大好き必見~
秋も深まってまいりました。歴史散歩にも好機到来の日々です。そこで今回は、中世の歴史ドラマの舞台となった知る人ぞ知る寺社・史蹟から有名寺院まで、西鎌倉でディープな秋を堪能していただきたいと思います。皆さまの奮ってのご参加をお待ちしております。 事前の申し込みは不要です。

日時・集合
令和 5 年 11 月 25 日(土) 12:30 江ノ電・極楽寺駅 (各自昼食を済ませて)
参加費
1,000 円
(拝観料の極楽寺宝物館 300 円・長谷寺 400 円・高徳院 300 円に充当)
なお、光則寺の拝観料 100 円は入口の小箱に投入式なので別途各自の支払いとする。
★当日は11月例会時に配布済みのイラストマップをご持参ください。
鎌倉・極楽寺界隈を巡ります。極楽寺では限定公開の希少な宝物を拝観します。各自、昼食を済ませてからの集合となります。秋の一日を健康的に楽しく過ごしましょう。上り坂はほとんどありません、紅葉も見頃となってお楽しみ頂けることでしょう。
雨天中止-中止の場合は当日AM8時までにHPに「開催中止」と載せます。ご不明な場合は担当幹事にご確認ください。
担当幹事 竹内章二 090-3240-2613 上野隆千 090-5543-0869
     高田 茂 090-5529-0566 丸山雅子 070-5577-6651

12月例会のご案内

12月4日(月)午後1時00分~4時50分  会場/関内ホール(小ホール)
 開場  12時15分~      開会  13時
◆発表者
金子ユカリさん 演題「石田三成 ~徳川政権下によって歪められた人物像に迫る~」
平  博子さん 演題「文久三年(1863)横浜鎖港談判使節について」
上野 隆千さん 演題「江戸300諸藩の経済的困窮~備中松山藩・山田方谷の藩政改革」
*詳細は「横歴例会のご案内 12 月例会」をご覧下さい。


11月例会発表のポイント
大岩 泰氏 演題「我が国の医療史」~医療史から我が国の歴史を眺める~

ベテランの大岩氏が日本の医療史をまとめた発表である。
このテーマを選んだきっかけは世界中に大きな影響を与えたコロナ感染症である。医書、医師名をあげた詳細な記述資料を用意されての発表となった。
中国の春秋戦国期に行われていたと考えられる医療行為では伝説上の名医扁鵲(へんじゃく)があげられるが、いわゆる仙人同様にとらえられよう。日本の医療の始まりとしては中国医学が百済経由で伝わり、律令制下では典薬寮と内薬師が置かれ、平安末期には医療過疎化した。10世紀には医療の家業化が進み、武家政権では制度上の医療体制はなく民間医が登場。戦国期には家伝・秘伝の常備薬も広まる。江戸時代には医書が多く印刷され蘭学も流入、明治期に入ると新政府はドイツ医学を採用し、開港後の横浜についても海外からのコレラや天然痘梅毒などの疾病に対する軍陣病院や西洋医学についても解説された。
到底1時間では話しきれない中身の詰まった内容で数回に分けてじっくり聞きたかった。
現代では医者になるための国家資格を得るのは難関である。しかしそれが家業として試験も資格も持たずに受け継がれてきた時代もあった。床屋が医療行為を行っていた時代もあった。どこまで医療は進歩、或いは変化していくのだろうか。始皇帝が欲した不老不死も是非は別として、夢ではなくなる時代が来るのかもしれない。命の尊さを世界中の誰もが今一度見つめ直してほしい。(発表のレジメはHPに掲載していません)

竹内 秀一さん 演題「古代山陰道について ―最近の島根県の発掘を踏まえて―」
「古代東海道」「古代東海道甲斐路(鯉の水遺跡)」に続いて今回は「古代山陰道」についての研究発表である。現地調査では出雲市文化財課の職員の方に杉沢遺跡を案内して頂いたとの事で、実り多いものとなったようである。発掘や研究によって明らかになることは近年多くみられるが、道路建設の直接的な記録はなく古代直線官道については不明なことが多い。
今回初めて古代官道の発表を聴講する方にもわかるように、広く直線である古代官道がどのあたりにあったかなどを図や写真で確認してから、山陰道についての解説となった。道路建設は平坦な地形の方が造成しやすいが、当時の地形では洪水による水没の懸念があった為、出雲では丘陵部に造られている。地理・地形・土壌・過去の災害など、土木工学の知識を持つ高度な技術があったようだ。これらの工法も図解で分かりやすく解説頂いた。また出雲風土記には他の風土記には見られない道路についての距離的な記述もあり、出雲は風土記から奈良時代の道路網や軍事施設が把握できる稀有な地域であると導いた。古代人が歩いたであろうその道を現代人も歩くことができるのである。
わくわく・ドキドキの研究対象を見つけられた竹内氏には、これからも大いにわくわくして歩み続けて頂きたいものである。

加藤 導男さん 演題「その後の北条氏」
加藤氏の愛読書『吾妻鏡』は北条氏寄りと言われているが、当の加藤氏は北条氏については懐疑的である。
鎌倉幕府では源氏は三代で終わり、その後は実質執権である北条氏の手に握られることとなる。北条義時、政子、大江広元が続けて亡くなった後、北条氏は十一代高時まで続くが、その中で名執権と言われ、北条執権体制の基礎を固めた泰時については、御成敗式目の制定や和賀江島築港、朝比奈切通しの開通に尽力したが、源氏の血を絶やす方針を踏襲したのではないかと疑問を呈している。五代執権時頼は三浦一族を滅ぼした策謀家で蒙古襲来時の時宗は国難を退けたとして名高いが同族争いで揉めていることを披露した。何事にも表と裏があるもので、血で血を洗うようなこの時代、上に立つものは苦労の連続であったと想像される。歴史を語るときは時代や視点の違いで全く異なる結論に達する。好悪もある。特に武士に関しては贔屓の人物もいるだろう。それでよいと思う。自分の好きな人や興味ある事件を己の視点で楽しむことから歴史探訪は始まっていくものである。今回も加藤節が聴けて楽しかった。