[5月の発表者]

新元号「令和」になりました。
新たな時代に向けて会員の皆さまの活発な研究発表を期待します。


中村康男さん 演題 「浮世絵から”歴代市川團十郎の特徴と日本の伝統芸能を垣間見る”」

ご存知の通り、新紙幣の発行が発表され、新千円札の表面には、「日本の近代医学の父」と讃えられる北里柴三郎の肖像画が、その裏面には、なんと葛飾北斎の富嶽三十六景の中でも、最も人気の高い“ 神奈川沖浪裏 ”が採用されました。この絵を描いた場所は、神奈川沖つまり横浜港に当たりますので、我が横浜歴史研究会とも縁を感じます。
また、私の高座名は、浮世亭寿八です。名前の通り、浮世絵が好きで、最近地元青葉区で、浮世絵講座の講師の依頼が増えています。今回の浮世絵の採用で、益々浮世絵人気が増すだろうと喜んでいます。

村島秀次さん 演題 「倭の五王と前方後円墳ツアー”」

新元号「令和」を初めて聞いた時は違和感がありましたが、半月も経てば慣れてしまうものです。違和感の理由は、第一に「令」が、元来天子の命令で、それが転じて法令を意味する字であり、象徴天皇には相応しくないこと。令夫人・令息と言ってもやはり、それは貴族や金持ちに使う言葉です。第二に国書に拘り過ぎること。そして「令」と「和」が対句の関係になく無理やり繋げた印象を与えること。第三にマスコミがそのことを指摘しないこと。日本はまた内向き志向になってきたのでしょうか?それにしても、平成天皇と皇后の象徴天皇像を追求するお姿は素晴らしいものがありました。今年の横歴の発表「倭の五王と前方後円墳ツアー」にご期待下さい。

宮下 元さん 演題 『縄文文化の疑問と概説』 ―日本列島人の気質を探る ―

はじめに1・・・今、縄文か✎
昨年5月に、旧石器の話をした。3.8万年前から五月雨式に日本列島に到来した旧石器時代人が、海面上昇で列島に残されたのが縄文人と類推される。縄文人は1万年の間、列島内でほぼ均一であった。現代日本人の遺伝子の1~2割が縄文人遺伝子という。
文字が無く、謎だらけの縄文文化を、疑問点を中心に概説的に私見を交えお話ししたい。縄文文化は、縄類(糸・紐・綱・網・籠)を敬う、木(縄)と土の独自の文化である。金属道具無しで西欧やアジア大陸文化とは一線を画す。近年、三内丸山遺跡の発掘で、縄文観が大きく変わった。また、小牧野のストーンサークルも見つかり謎は深ま るばかりである。中でも土器・土偶の美的センスと先進性・多様性・精神性は他に類を見ない。世界遺産として誇るべきものだ。次の世界遺産の申請は、東北の北部と北海道南部の縄文遺跡だそうだ。なお、噴火湾の遺跡発掘に谷川操一先輩が携わったとのことである。
噴火湾遺跡群の中で前期縄文時代が゙解かる北黄金貝塚(きたこがね)を紹介したい。