[横歴通信10月]例会開催



スタジオジプリ作品「コクリコ坂から」より
港が見える丘にあるコクリコ坂。(山手町の代官坂がモデルとされています)その下宿屋を切り盛りする16歳の少女 海。彼女は毎朝海に向かって信号旗をあげる。旗の意味は「安全な航海を祈る」
ストーリーは東京オリンピックの前年横浜のとある高校生たちが歴史的建造物を守るために立ち上がるという青春ドラマです。前のオリンピックが学生時代という方には懐かしいシーンが一杯です。

10月例会開催されました

10月12日(月)秋の長雨に付き合うかのような動きの遅い台風14号が接近し、大雨が心配されましたが、日曜から回復し例会は無事開催されました。
今月の会場もコロナ禍対策用の広い横浜開港記念会館講堂での実施となりました。今後もコロナのリスク回避の方策を採りながらの開催となりますが、常に気を引き締め会員の皆さんに最大限のパフォーマンスを発揮していただけるよう努めてまいります。
しかし平日の月曜開催にも関わらず、新入会員3名を加え94名のご参加をいただきました。また休会中にも多くの見学や入会希望のご連絡をいただき、コロナが収束へ向かえば…との期待を膨らませながら活動を行っていきます。
次回11月は休日開催、4月に予定されていた講演者が満を持して臨みます。久しぶりの100名超えの来場者を期待しています。*会場は200名程の収容が可能となっています。
●例会参加者 94名(会員86名 新入会員3名 ゲスト5名)

開催にあたり

木村髙久会長
本日も多数のご参加ありがとうございます。先月半年ぶりに再開いたしましたが、果たして今月もできるのか心配していました。巷では入場規制が緩和されてきているようで、我々もしっかり予防をしながら活動していきたいと思います。
こうした状況にも関わらず、新たに3名の新入会員をお迎えすることになりありがとうございます。
さて本日、会の規定に変更があったことをご報告いたします。例会参加費ですが、これまで1000円を徴収させていただいています。これを今月より950円に改め、プラス50円をよろしければ寄付という扱いにしていただきたいということになりました。実は本会館の使用料が1000円以下とそれ以上で異なり、1000円から割増しになります。当会は皆様の会費のみを財源に活動しています。コロナによる収入減を補うためにもご協力をお願いいたします。本日もごゆっくり発表をお楽しみいただければ幸いです。
※〈事務局より〉お申し出いただければ50円はご返却いたします。

◆新入会員のご紹介
◆影浦能章(よしあき)さん
谷川会員のお誘いによる入会。学生時代、歴史は年号や人物の暗記に終始する勉強が嫌いで避けていました。社会人になり歴史上、民衆が独裁者を支持するような事象がなぜ起きるのかといったようなことに興味を持つようになりました。みなさんと一緒に学べることをうれしく思います。

◆藤田哲三さん
社会人として工作機械の輸出入の仕事を40数か国、150回位海外出張するような人生を送ってきました。後年は慶応大学の通信教育で歴史を学び卒業を果たすこともできました。これからの人生を、歴史と触れ合いながら送っていきたいと考えています。

◆前田渉さん
仕事は私立の学校の教員を勤めていましたが、歴史とは関係のない教科でした。日本美術の歴史に興味があり、この会にはそうしたことにも精通する方がおられるとのことで、一緒に学べることを大変楽しみにしています。


◎10月例会発表のポイント
大瀬 克博さん 演題『 義和団事件の英雄・会津人柴五郎の生涯 』
大瀬さんはこれまでご自身の出身地に因んだ人物や出来事を題材にされていましたが、今回は社会人時代に上司から折に触れ聞かされていたという柴五郎のお話です。
五郎の人物像を語る原点になるのが戊辰戦争で会津が新政府軍に攻め込まれ、戦で男のいない柴家を守っていた母親、女兄弟などが揃って自刃したという体験にある。幸か不幸か、10歳の五郎少年は柴家を絶やさないよう親戚に預けられ、生き延びていた。それ以降は残された多くの会津藩士家族同様に本州の北の果て下北の耐乏生活を強いられる。
そしてその苦労の末に軍属として出世を果たす。これを導いてくれたのが郷里の先輩などとの出会いだった。
この話は義和団事件における五郎の面目躍如がハイライトなのだが、そうではなかった。歴史上のヒーローと呼ばれる人物の本質は、そのハイライトに映し出されるのではなく、そこまでの過程や後日談にある。大瀬さんの話は淡々として、やがて腹の底にずっしりと残る語りだった。これぞレジュメを読むだけでは伝わらない講演の素晴らしさですね。

高野 賢彦さん 演題『 大王(おおきみ)を支えてきた大伴氏の最期 』
会の演題で扱われることが多い古代ヤマト王権の話である。この時代のオンチに難しいのが朝廷に使え権力を握った豪族の盛衰である。高野さんは神武以来、帝の側近として活躍し、多くの人に知られる大伴氏がどうやって衰亡していったかを解きほぐした。そこに介在するのが藤原氏だった。藤原氏は多くの豪族を排除していく中で最後に残った伴氏(大伴氏)を、応天門の変で放火の犯人に仕立て上げ滅亡へと追いやり、以後藤原良房より摂関政治を開始するのだ。高野さんは我々が歌人として知ってる大伴旅人や家持の存在を政治家としての経緯を解説しながら、その折々に人としての心情を垣間見る歌を添えながらわかりやすく語られた。
結びにあった家持が編纂に携わったとされる「萬葉集」は藤原氏との覇権争いに敗れた名門貴族の無念を表す哀歌ではないかとの言葉にうなずいてしまった。

清水 漠さん 演題『 赤備え 虎昌・昌景 & 直政・幸村 』
戦国合戦の華とも言えるのが武者の甲冑、騎馬などの武具の揃いである。これまで武田家にまつわる話などをされてきた清水さんが今回のテーマにしたのが、武田家に始まる「赤備え」だ。信虎の時から武田に仕えた飯富(おぶ、元は飫富)虎昌が赤で武装したのが最初とのこと。そしてこの備えは弟 山県昌景に継がれる。飯富虎昌が信玄の嫡子義信の反逆計画に加担した疑いで切腹して亡くなったためである。余談だがこの事件は後の徳川家康‐信康親子の話に似ていて面白い。この赤備えは以後真田信繁や井伊直政の真田家・井伊家のシンボルカラーとして継承される。清水さんはこの赤備えをいろんな角度から検証し、後世の絵図や映画などに見るようなさっそうとした揃いの武具が実際に整えられていたのかなども考察した。
ことの他お金がかかる武具のこと、ましてや赤は辰砂(しんしゃ)と呼ばれる鉱物から採られる高価なものとのこと、鮮やかな赤い色を槍や徒士にまで装備させたかどうかは今後検証されることに違いない。

*講演のレジュメは「研究発表」をご覧ください。

小学生会員 山本創心君が参加
9月例会に続き小学4年生の会員山本創心君が例会に参加されました。今回は平日開催ということもあり、午前中の授業を終えて急ぎ駆けつけたのは、大好きな真田幸村に因む講義もあるからとのことでした。1時限目の柴五郎について感想を求めると、以前何かで読んで少し知っていたそうで、当方感心しきりです。また講演後の高野さんに講義内容の質問をするなど実に頼もしいかぎりです。創心君、創立100周年は任せた!

11月例会は11月8日(日)に開催されます。

横浜開港記念会館 講堂 午後1時開始
◆長谷川 憲司さん 演題・・・「 近代日本が生んだ世界的細菌学者 野口英世 の実像 」
◆斎木 敏夫さん 演題・・・「 宇佐八幡と八幡神 」
◆高尾 隆さん 演題・・・「 間宮林蔵は善人か悪人か 」-歴史は後世に脚色されるー

講演内容は『横歴 例会のご案内』をご覧ください。
例会開催予定
〇11月8日(日) 講堂/休憩室(8号室・9号室)
〇12月1日(火) 講堂/休憩室(1号室)
〇1月11日(月・祝日)総会・講演会 講堂/休憩室(1号室)
〇2月2日(火) 講堂/休憩室(7号室・9号室)
〇3月2日(火) 講堂/休憩室(1号室)

11月22日秋の歴史散歩は開催の予定です

江戸の浅草裏、小塚原から日本堤・吉原-待乳山昇天神社をめぐる「江戸の光と影‐裏浅草をめぐる」歴史散歩を11月22日(日)に実施する予定です。コロナ禍による集団行動が慎まれる事情もあり、参加者を6~7名程のグループ分けでグループ1つに専属ガイドをつけるソーシャルディスタンスを考慮した形式で計画をしています。なお今後の社会情勢により変更する場合もありますのでご了承ください。詳細は11月例会、ホームページでご案内します。

横歴会員粟光行さんが書籍「私の中国史」第二弾を発刊されました

粟さんは昨年、著作「私の中国史~漢と司馬遷」を書籍化されましたが、新たに10月「私の中国史~古代編~」を出されました。中国の周王朝、春秋時代、戦国時代を読みやすくまとめ、要所に「私の独り言」という項に作者の思いを込めています。