[横歴通信12月]本年度最多の参加者にて開催!


寒さも一段と身に染みる12月15日(木)今年最後の例会が開催されました。
平日の寒い一日にもかかわらず参加者数83名(会員75名・新会員1名・ゲスト7名)と予想を上回る多くの方が参加されました。当日は上野副会長・事務局長代行に変わり竹内常任理事による司会進行で行われました。
来月の1月7日(土)には令和5年度定期総会と講師に吉田律人先生をお迎えして新春講演会が開催されます。

新入会員

中澤勝(ナカザワマサル)さん
鹿鳴家河童さんこと寺田さんの紹介で10月の公演に参加し、迷いましたが入会することにしました。よろしくお願いします。

訃報

水野嘉和氏11月21日ご逝去(85歳)
平成25年蒔田吉良の会のご縁で入会。研修バスツアーに奥様とご一緒に参加されていた。
 

 

 
山本修司氏
11月26日ご逝去(79歳)。
平成23年入会。理事・常任理事・歴研よこはまの編集長として活躍、編集費のコストダウンにご尽力頂いた。「退職後の居場所として横歴があったことは幸せだった」と奥様に言葉を残される。
 

 
 
渡会裕一氏
12月12日ご逝去(86歳)
平成15年入会。常任理事・顧問など会の発展のためご尽力頂いた。
 

    皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます

開催にあたり

横浜歴史研究会会長 木村髙久さん
悲しく残念なお知らせがあります。水野さん、山本さん、渡会さんが亡くなられました。お三方とも横歴に大変貢献していただいた方々です。心からご冥福をお祈りいたします。
本日、最後の40周年記念事業として記念誌が発行されました。山本さん、高島さん、佐藤さん、高尾さんのご尽力、また、投稿、写真、俳画など皆さんのご協力で素晴らしいものが出来ました。本日の例会を持ちまして今年の40周年記念事業は終了いたします。コロナの中、制限もありましたがやり遂げることができたのは皆さまのご協力のおかげです。ありがとうございました。
先月8日19時16分から442年ぶりに皆既月食と天王星食との共演が見られました。月が赤銅色でとても神秘的でした。次回は322年後ですので皆さん是非長生きしてください。

11月例会発表のポイント
演題・・・『倭の五王と五世紀の倭国』高田茂さん
古代史ファンが夢中になる謎多き倭の五王の話である。高田氏は冒頭に「籠(こ)もよ み籠持ち 掘串(ぶぐし)もよ み掘串持ち この岳(おか)に菜摘ます児 家聞かな 名告(なの)らさむ…」という雄略天皇の万葉集の歌を読み上げてから始められた。若菜を摘む女性に名を問うという愛を告白する意味合いの歌とのことである。
おやおや雄略天皇はなかなか粋人ではないかと思うと、一方では「大逆の天皇」とも評価されているという。雄略の名では日本書紀にも記されているのだがその実在は紀が編纂された頃より300年程昔で、雄略を含む歴代天皇の在位が不明確なのだ。そこで同時代の中国の『宋書』・「倭国伝」に記された倭国の讃・珍・済・興・武という王の名前に照らして割り出したのが武=雄略天皇なのだ。
所がこの該当する時代の中国や朝鮮半島諸国と我国の関係を海外の文献から推理するとのんびり愛を告白しているような状況ではなく、倭国は安定した国家とは言えない時代だった。向こうの文献は時代が明確だからこの五王が誰なのかわかれば古代史に光が差すのは間違いない。前回氏が唱えたように「静安と尊厳を守るため」に厳しく制限されているという古墳の調査が開かれたら古代史に変革が起きることは、古代史ファンでなくともわかる話だ。
演題・・・『タイタニック号の真実』槙良生さん
本年2回目の発表となる槙氏は「今回は暮れの最後でもあるから、皆さんが良く知っているポピュラーな題材を選んだ」という。タイタニック号は映画でも話題になったように華やかさを伴う一大悲劇である。しかしこれは今も日常茶飯事に起きている人災ではないだろうか?この船の社長(ヘンリー・トーマス・イズメイ)は「この時期、大西洋上に氷山は当たり前にある」と言っていたそうだ。であるならその認識を事業に徹底させていれさえすれば起きなかったのではないか?日本が幕末の頃、船は帆船から蒸気船になり、外輪船からスクリューに変わり海運業は飛躍的に発達する中、資本家が営利に走る中起きた災害である。毎日のようにニュースに見る災害事故等の多くが原因究明の話になると不可抗力であったと収められる。そこには最高責任者たるトップに立つ人間の質が問われる。いつも奥深い研究発表をされる槙氏は単なる災害事故の話に収めず、この事件の時代背景も検証している。時は辛亥革命により今の中国の前身となる中華民国が誕生し、ロシアではレーニンによるロシア革命の前夜であった。100年たったいまも世界の国々の多くが専制的な指導者のかじ取りに身を委ねている。これからの世界史に不可抗力という答えは欲しくないものである。
演題・・・『縄文人の心を探る』木村高久さん
木村氏は暮れに配布された会報40周年記念号にも縄文人と弥生人の違いを題材に投稿されている。この記事に見るように両者の風貌も土器の違いと同様に大きく異なっている。さらにその生活様式も異にするのだから研究者にはたまらない対象なのだろう。
しかも縄文の歴史は約1万5000年前から3000年程前の長い間でその時代区分が6期にも分かれるというから実に奥深い研究である。今回現存する遺跡からどのような形態の暮らしをし、どのような文化や風習があったかなどを解説いただき日本の原始時代を知ることができた。
ただし筆者には長年思いつつ納得できていないことがある。それは縄文の火焔式土器の美しさと表現力である。それも必要以上に装飾的で芸術的レベルが高い。またこのような造形を残しているのなら、岩や木片などどこかに絵画的作品があるのではないという疑問である。後に続く弥生時代の土器があまりにもまともで優等生的だけに縄文との間に何があったのだろう?(高尾)
*発表者の詳細は「研究発表」をご覧ください。

令和5年度定期総会と新春講演会のご案内

1月7日(土)午後1時00分~4時00分  会場/関内ホール(小ホール〉
第1部 定期総会午後1時00分~2時10分
第2部 新春講演会 午後2時30分~4時00分
演題 「関東大震災と横浜―被災者の記録を中心に」
講師  吉田律人先生 
[公益財団法人 横浜市ふるさと歴史財団 横浜都市発展記念館調査研究員]
講演会費 1000円

*総会のみ参加の方は会費を徴収いたしません。
*来年は関東大震災100年目にあたります。震災は東京に留まらず横浜にも甚大な被害を及ぼしたそうです。横浜人ならずとも学んでおくべきと思います。