[横歴通信]10月例会開催



秋没日=あきいりひ

10月2日台風一過。秋晴れのさわやかな空気が流れる横浜公園。長いコロナ禍の禁足が解かれ、久々の横歴例会に開港記念会館に向かう足取りは軽い。
横歴の例会の楽しみは毎回新しい視点で切り取った会員による研究発表に尽きる。長らく参加していないとその魅力さえも忘れがちになる。コロナ感染がこのまま収束に向かってくれるのか?はたまた第6波が訪れるのか?どうかこの年寄りの楽しみを奪わないでください。
実は開港記念会館は来月一杯をもって2年程のリニューアル工事に入る。当面会で行うイベントは24日の「横歴はま寄席」と11月9日(火)の例会のみとなる。しばらくは関内近隣の例会会場となりますので、ご承知おきください。
10月の参加者はちょっぴり寂しい68名(内ゲスト1名)でした。

新入会員
澁井和夫さん
「本年年男の72歳です、生まれは東京新橋で家は江戸の中期に上方から出てきて漢方薬屋を開いておりました。明治になってからはお茶屋に転向しましたが私で11代目になる江戸っ子です。会員の中村さんとは大学時代からの落語つながりによるお仲間です。以後よろしくお願いいたします。」

開催にあたり 木村髙久会長

昨日までの台風が治まり良かったですね。さて世界三大墳墓はご存知でしょうか?エジプト、クフ王のピラミッド。中国、秦の始皇帝陵。3つ目が仁徳天皇陵の大仙陵古墳ですが、この陵墓が10月から12月まで修理を兼ねた調査に入っています。もしかすると仁徳天皇のお墓か、違う方の物であるかわかるかもしれません。
ところで今月は24日に当講堂で「横歴はま寄席」が行われます。皆さんどうぞお楽しみにご参加ください。


10月例会発表のポイント
植木静山さん 演題『サムライ達の「北方領土交渉」』
日露交渉にも人間的なつながりが生まれた時代があった
幕末の海外との条約交渉と言えば、ペリー提督がやってきた日米和親条約が有名だが,当時日本はイギリスやフランス、ロシア、オランダとも同様の条約締結を要求されていた。中でもロシアは18世紀末から北海道沿岸に通商を求めてやってきていた。幕府は交渉窓口は長崎にありと、信牌(長崎の中国船に与えていた通商用許可証)を与えて追い返していた。ロシアの方が忍耐強く待っていたと言える。
後年のプチャーチン提督の場合は帝政ロシアの貴族出身でもあり紳士だった。案の定、散々じらされ怒り心頭の末、アメリカに続き国境交渉・友好条約を結ぶことができたのだが、安政の大地震で破壊された艦船の代替船建造を日本が助けるなどしたところから、親日的な交流も生まれている。その交渉に当たったのが川路聖謨だが、その聡明で知性的な対応は相手に尊敬の念さえ与える程でありながら、ロシア船建造にあたり、日本の船大工にそのノウハウを覚えさせるなど、したたかな一面も見せている。現代よりも高い外交能力があるではないか。文献をくまなく押さえまとめあげる植木氏ならではの発表だった。

遠田千代吉さん 演題『「二上山に偲ぶ」-大津皇子山頂墓―』
歴史は後世の人々に脚色されることがある。
判官びいきという言葉に代表されるように日本人は運悪くヒーローになれるはずがなれなかった者に対して多大な同情を寄せ、その存在を惜しむ。大津皇子もその一人で、非業の死とその墓所に関する話が江戸時代まで語り継がれたようだ。
万葉集の「二上山の頂へ」という歌が鍵となり、自害に追い込まれた若き皇子に思いを馳せ、山頂にあるはずのない古墳の存在の有無を後世の者たちは検証しようとしたのだろう。短い人生にも恋があり、姉弟の愛がある。ロマンチストの日本人がほっておけないテーマなのだ。ではなぜこのテーマに多くの人々が調査・研究に勤しんできたのか?それは疑念の多いテーマであるから引き寄せられるのだろう。遠田さんもしかり、自ら山へ足を運び真実の木魂を確かめに行った。遠田さんの検証は残された文献の精査・真偽を行い、見分による確証など地道な歴史捜査を行われている。その結論、「二上山山頂墓は大津山皇子を象徴し祀る社である」の結びにすっきりとした思いで聞き終えた。

武田収功さん 演題『「水銀の道」飛鳥池工房遺跡の出土品』
古代史も目からうろこの化学的・経済学的検証
世界の歴史のターニングポイントとなる物が希少金属-金銀の存在である。金銀が歴史を動かしてきたことは百も承知であるが、どこで手に入れ、どこでどう生産したかまでは掘り下げていないことが多い。武田さんの発表はまさにそこを突いてきた。このような面白い発表が聞けるのも150人超の会員数を誇る当会ならではのことである。
着目点は古代に花開いた王朝文化の地、飛鳥池工房遺跡での水銀アマルガムの出土から一粒の銀が発見された。そこからこの金銀の生産拠点を結びつける産業ルートを探索することだった。水銀を産む辰砂の鉱脈、工房まで運ぶ道筋、運搬の経済性、水銀というものの性質なども含む深い考察をうかがい、同氏の考えに納得させられた。
解説の中にあった正倉院宝物の90~95%が国産であることが近年明らかになったと聞き、なるほど高価で希少な宝物がすべて貢物であること自体に疑問を持たざるを得ないと考えると、歴史は素朴な疑問を大切にしなければならいと痛感した。

会員の誇り 市川さん 佐藤さん永年会員顕彰!!

いくつになっても歴史を学ぶことの素晴らしいさ。横浜歴史研究会では会員の鏡となるいつまでも壮健でご参加いただいている満90を越えられた会員を永年会員として遇するようにしています。今月市川康夫さんと佐藤敏子さんが晴れて顕彰されました。永年会員には年会費免除の特典が与えられます。当月参加された佐藤さんが顕彰盾を受けられました。

横歴「はま寄席」開催のお知らせ


「伝統芸能を楽しむ会」の一環として行われます横歴「はま寄席」の開催が迫って参りました。おかげ様で多数の参加春の応募をいただきありがとうございます。来年度の創立40周年大会事業のプレイベントとして一般客も交えた催しとなります。ご来場の皆様にお楽しみいただけるよう準備を進めています。客席にまだ若干の余裕がございますので、当会メールまたは班長を通じてお申し込みください。

講談 宝井琴鶴


今回演目の目玉に横浜育ちの講談師 宝井琴鶴さんにご登場いただきます。
ここ数年、講談の静かなブームが起きていますが、そこに彗星のごとく現れたのが琴鶴さんです。地元愛にあふれた演目を数多く披露され、今回も神奈川に足跡を残した坂本龍馬とその妻おりょうとの物語をお話しいただきます。
落語三席も社会人落語家として、玄人はだしの腕前の御三方が上がります。落語にまつわる歴史を学び、与太郎・八さん・熊さんの噺ではなく、山本周五郎の世界のような人情の機微に触れるなごみの演目をお楽しみいただけます。

(注)なお本公演はコロナ感染状況が収まり、開催可能であることを前提に実施いたします。会員へは随時ご連絡を行いますが、本ホームページにも注視いただければ幸いです。

開催概要

令和3年10月24日(日) 横浜市開港記念会館 講堂
木戸銭(全前売)500円 *当日売りなし 全席自由席
開場 午後12時
開演 午後1時 終演 午後4時
公演案内チラシ☞はま寄席チラシ両面
◆プログラム
1.歴史講座「江戸の暮らしと落語の舞台」寺田隆郎
落語はいつ頃生まれた?上方落語と江戸落語の違いは?噺に出てくる場所はどこ?など、落語にまつわる歴史と八さん、熊さんの世界を解説します。

落語 参遊亭遊若

2.第11回社会人落語日本一決定戦 第11代名人
ご存知 尊王攘夷志士 対 新選組
落語 参遊亭遊若 『池田屋』

 

 

 

 

 

 

 

落語 浮世亭寿八

3.演芸で地域を活性 笑いの伝道師
清兵衛が腰を抜かす 高麗茶碗の一席
落語 浮世亭寿八 『井戸の茶碗』

 

 

 

 

 

 

 

仲入り
琴鶴先生の記念品や書籍等が当たる“お楽しみ抽選会”

4.特別出演 横浜が生んだ講談界の新星
騒乱の中で二人の愛を育んだ 感動の逸話
講談 宝井琴鶴 『坂本竜馬とおりょう』

5.浅草三社様で300回奉納された伝統芸能
寿々川社中/桜川寿々之輔 かっぽれ 美寿々流師範・寿々川真之輔

落語 鹿鳴家河童

6.名人に語り継がれる人情噺の一席
古典落語の求道者
落語 鹿鳴家河童 『唐茄子屋政談』

 

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〈三味線〉南風亭社中 〈歌〉三浦屋千代里

参加申し込み方法

横歴メールアドレス info@yokoreki.com

観覧希望の方はPC・スマホからメールでお申し込みいただけます。
①『横歴』のメールに「参加希望」、「お名前」、「連絡先」、「参加人数(4名まで)」を記入してお送りください。
②横歴より受付確認と参加人数分のチケット番号を返信します。*開催当日までチケット番号を忘れずに控えていただくようお願いします。
開催日受付で「お名前」と「チケット番号」をお申し出ください。代金と引き換えに該当チケットをお渡しします。
※チケット番号はお座席番号ではありません。当日会場は全自由席です。
※受付は満席になった場合、お断りすることがあります。